フローにんげんの一日

しょーもない日々にしょーもない突っ込み!

不変

たまたま立ち寄ったローソンで、お客さんに会った。いいやお客さんなどではない、ローソンに立ち寄った瞬間から、こっちが客で、向こうは店員である。よし、今まで訊けなかったけれど、今なら訊けないはずがない!

「この前チラッと見えたのですが、どうして背中に傷跡が?」いきなりの問いに迷惑そうな顔をするない、このカフェオーレが目に入らぬかと、控え目にレジに叩きつければ、面倒臭そうに手を止めて、ポツリポツリと話はじめた。

昔リフォーム会社の営業で働いていたこと、お得意さんに雨漏りの調査を頼まれたこと。歩いていたら屋根を踏み抜いて、地に足つかぬ間に4メートルも移動して、足が着いたと思った時には、そのまま後ろに跳ね返り、石段に腰を打ち付けたこと。

病院に運び込まれた後で、粉々になった骨を取り除く、新たに骨を移植して金具で取り付ける手術を終えて、一年に渡る懸命なリハビリ後、何とか仕事を見つけたこと。

理学療法士の先生が、親身になってリハビリ手伝ってくれたから、本当に嬉しかったし、格好良いなって思ったよ。」子供のように目を輝かせて、呟く言葉は嘘ではなかった。

「これから何をするんですか?」「バイトで金を貯めたから、明日大阪に発つ予定だよ。ピザ屋の店舗の管理業務さ。やっと変われた、営業もコンビニも、もうごめんだね。」と吐き捨てた顔に、先ほどの夢の輝きは欠け、かけらでさえも夢にも見えぬ。

この人は変わらない、変わってないし、本質的には変わりたいとも思わないだろう。売るものがカフェオーレから、ピザに変わって、それがコーラに変わるか知らんが、いずれにしても得るものはない。その溶け残った蝋燭のような顔は、頑固で愚かで、何だか人間臭かった。

それも又面白い。

面白いという言葉が出てきて、自分は変わったものだと思った。それでも心の奥底、何にも変わっちゃいないのだろう。絵本の好きな子供の時は、永遠に向けて少しずつ進み続けている。