フローにんげんの一日

しょーもない日々にしょーもない突っ込み!

かわる

何でも大川さんの話では、栗原君は酷い人らしい。教えるときにはいつも薄笑い、あざけるように下目に見てきて、言葉使いは丁寧だけれど、ことあるごとに嫌みを言うし、ある御客さんは、栗原君の態度が威張っているとかいって、役所に報告しようとしていて、それを上手いことなだめ透かしてあげたのに、まったく感謝の気持ちがない、とか。

何だかちょっと違ったので、それはそうかも知れないけれど、この前一緒に仕事したとき、栗原君は誉めてましたと、言ってみた。仕事もきちんと覚えてくれて、レッスンも上手くなった、とか。大川さんは苦手かもだけど、栗原君は認めてましたよ、と。

大川さんはそれを聞き、怪訝な顔をすぐほころばせて、まあ彼だって頑張ってるから。教えるときに、期待しすぎて、空回りしてるだけかもですね、と口調がガラリと変わっている。

栗原君を誉めてはいない、栗原君が大川さんを誉めてたことを伝えただけだ。すると勝手に大川さん迄栗原君を誉め初めた。自分を認めてくれない人を、勢い拒絶してしまい、自分を誉めてくれた人には、自然自分も誉めてしまう。当たり前のこと、けれども忘れちゃいけないこと。